Perfume of love

2002年8月20日
バイト帰り。
いつものように原付をとばす。
風が冷たかった。
いつもは快適だったノースリーブが、
寒くてたまらない。
鳥肌が立っていた。

夏が終わる。
いつだって、この季節は寂しい。
そして私の好きな秋がやってくる。
好きだけれど、切なくて、どこか悲しい季節が。

★★★★★

今日は高校時代の塾仲間Mと遊んだ。
スタバで1時間半たっぷりと、最近の恋バナやら、将来の話やら、昔の彼氏の話なんかをして、久しぶりによく話して、よく笑った。

その後昔話ついでに、ノリで、
「もうひとつの母校」である某予備校へと潜入することになった。

Mも高校卒業後に何度か潜入していたらしく、
私は恐らく3年ぶりの潜入。
毎年夏に、誰かしらと「行こう」という話になるのだが、
実現したのは久しぶり。
初めて足を踏み入れた時みたいに、ドキドキした。

目の前に、懐かしい風景が広がる。

エレベーターの音。
自習室受付のおじいちゃん。
ラウンジ。
講義室。
自習室。
トイレ。

机の向きとラウンジの椅子が変わっていた以外は、
何もかも、あの頃と同じ。

そして、同じ香り。
ラウンジも教室もトイレも。
あれから4年が経つのに、
あの特有の香りは何も変わっていなかった。

不思議。
時間が戻るよう。

男の子と話した後、「喋っちゃった!」って涙目で騒いでる女の子たちに、
当時の私たちが重なった。
こんな風景、何度もあった。
若かったんだね。

と、その時、
自習室の入り口にいるチューターが、
大学の後輩に激似であることに気付く。
ファッションも、声も、しぐさも激似。
遠めから覗きこむと、なんと本人。
「何でチューターなんてやってるの?」と私が叫ぶ前に、
「何でここにおんねん!どっか受けるのか!?」
と、逆に突っ込まれた。

春まで同じバイトしてたのに…。
私の母校で働くなんて、
ずるい!おいしい!

チューターって、もてるんだよなぁ…なんてことを思いつつ彼を眺めていると。
質問していた女の子も。
彼の横にいた女の子も。
やっぱり。
彼のことが好きなんだと一瞬でわかった。

友人が、チューターに恋をしていた。
現に私も、講師の先生のことが好きだった。
女の子たちが、チューターや講師に恋する気持ちは、痛いほどよくわかる。

後輩には、ずっと付き合っている彼女がいる。
でもきっとこの子たちは、そんなことを知ることもなく、
真っ直ぐに彼を追いかけているんだろうな。

彼女たちの恋が、叶わない恋だって判ってしまう自分が辛かった。
でも、可能性は少ないかもしれないけど、
「頑張れ!!」
って、心の中で、大声で叫んだ。

★★★★★

私が恋をしたのは、数学の先生。
初めて本気で恋をした。
今でも甘い声の人や、優しい瞳の人や、香水をつける人、優しくしてくれる人が好きなのは、先生の影響なのかもしれない。

先生が居てくれなかったら、今の私は存在しなかっただろう。
いつも赤点で、右も左も判っていないうえに、数学的センスが皆無だった私に、
嫌な顔をすることも、怒ることも、投げ出すこともせずに、
いつでも優しく付き合ってくれた。

数学だけじゃない、他の教科だって見てくれた。
だから先生と出会ってから、必死で勉強した。
勉強すれば、判らない箇所が出てくる。
そうすれば、先生のもとへ質問に行けたから。
隣の席に座ることができるから。
そして模試でいい結果を出せば、
必ず誉めてくれるから。
一緒になって、喜んでくれるから。

真夜中の長電話。
2人っきりの、帰り道。バスターミナル。
塾を抜け出しての、買物。食事。
月明かりに照らされた、夜の海。
優しく抱き締めてくれた、告白の日。
一足早い、クリスマス。

★★★★★

毎年この季節になると、決まって先生と連絡を取り合う。
そして毎年同じ言葉を、先生は言う。
「あの時Harumiちゃんを彼女にしとけばよかったな。」と。
そんな戯言を聞けるのも、今年が最後。
来年私が上京し離れてしまったら、
もう私たちがめぐり会うことはないだろう。


明日の夜、先生と約束がある。
もしかしたら、これが最後かもしれない。


最後くらい、めいっぱい甘えたっていいよね?先生。




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